さてペダルの仕組みがお分りいただけたところで(笑)、今度は奏法の話に行きましょうか。まずは「足の動き」から、ペダルの奏法にはいくつかあります。本や教則ビデオから拝借したり、私がイメージでいい加減に付けた名前もありますので、後了承ください。
ペダルの有名な奏法には以下のようなものがあります。

ヒールアップ奏法(バリエーションは以下を含む3種)
ヒールアップ奏法+
ヒールアップ奏法++
ヒールダウン奏法
フルフット奏法

などです。これ
文字通りです(笑)。踏んでいる足の踵や足の状態がどうであるかで名前が付いているだけです。興味のある人はビデオ観たり、本でも読んでください・・・と言いたいところですが、それではあまりにも不親切なので、つたないですが解説させて頂きます。まずは「一つ打ち」シングルストロークから。
ちなみに以下の写真はかなり大げさに撮影してあります。スゴイ高いところから踏んでいるように見えると思いますが、分かりやすくするためにモルダーを宙づりしています(笑)
ヒールアップ奏法(アタックNo.1)
文字通り踵を上げた状態でペダルを踏む(跳ね返りを押さえ踏み込み続ける)奏法です。打ったあともビータはヘッドに付いたままです。
メリットは(体重が乗るので)音量が稼げます。ひと昔前はこれが一番ポピュラーな奏法だったと思います。実を言うと私は他の奏法を知らなかった(笑)ので、恥ずかしながらドラム初心者の頃から10年以上こればかりやっていました。音はビーターが当たりっぱなしになるので「ドッ」っていうタイトなサウンドです。
ヒールアップ奏法+(かかと落とし)
上記のヒールアップ奏法で踏んだ後「踵をペダルに降ろしてしまう」奏法です。打ったあとはビーターがヘッドから離れ(離し)ます。
現在もっともポピュラーな奏法だと思います。私の知り合いは皆これをやっています。メリットは音量が出せる上にヒットした後に踵を付ける(降ろす)ので、通常のヒールアップに比べて演奏上の安定感が増します。踵を降ろすタイミングは人それぞれです。それによって音の長さをコントロールしているドラマーもいます。音はビーターがヘッドから離れるので「ドン」というふくよかなサウンドです。
ヒールアップ奏法++(空中殺法)
上記のヒールアップ奏法で踏んだ後「すぐにビーターを戻す」もしくは「跳ね返ったままにする」奏法です。当然打ったあとはビーターがヘッドから離れます。
オープンなサウンドの連打に向いています。これスティーブ・スミスさんが教則DVDでやっておりました。これは重心が前がかり過ぎると非常に難しい奏法です。これに向いたバランスでスローン(ドラムシート)に座っていないとできません。音はビーターがヘッドから離れるので「ドン」という大きくふくよかなサウンドです。
ヒールダウン奏法(スネがプルプル)
踵をペダルに付けた(下ろした)状態で、足首を動かす事によってペダルを踏む奏法です。打ったあとはビーターの状態をコントロールできます(座り位置によって変化させられます)。
言うまでもなく足首を動かすのはスネの筋肉です。故にこの奏法を使い大音量で長時間演奏するのは辛いですが、ソフトなタッチで演奏したい時などには絶対欠かせない奏法です。またもしこの奏法を使わない人でも、この奏法でスネの筋肉を鍛える意味は非常に大きいと思います。ヒットした後のビーターはスローンに座っている状態で変化し、前がかりにスローンに座ると付いた状態が自然、後ろぎみに座ると離れる方が自然です。音はビーターがヘッドに付いた状態は「ド」という感じで、離れる場合は「ボン」というふくよかなサウンドです。
フルフット奏法(無邪気な子供奏法)
フットボードに対して、つま先から足全体を落とすように踏む奏法で、非常に音量が稼げます。こちらも打ったあとはビーターがヘッドから離れます。
これを以前から気にもせずやっていた人は多いと思いますが、スティーブ・スミスさんの教則DVDでわざわざ取り上げていた(笑)奏法です。多分一番大きな音量が出る奏法だと思います。踵を降ろすことを意識しない「ヒールアップ奏法+」という感じです。もちろん一発ずつ踏むのもいいですが、この奏法は踏んだ反動を利用して足を元のポジションに戻しやすいので、連打にも向いています。打ったあとは一発でも連打でもビーターがヘッドから離れます。音はビーターがヘッドから離れるので「ドンッ!」という非常に大きなサウンドです。
以上、これらがシングルストロークです。
これらを使い分けてフットワークを音楽にします。曲によりますがたとえば

ドン、ド、ドン(ドン、8分休符ド、ドン、4分休符)
●○○●●○○○(4分の4拍子で、8分音符を●、8分休符を○で表した場合)

などと演奏したい時は

1打目は「ヒールアップ奏法+」で「ドン」
2打目が「ヒールアップ」で「ドッ」
3打目が「フルフット」でちょい音大きめ長めの「ドォン」

にしたりして演奏の深みを与え(る努力だけはして)ます。

どんな踏み方だろうと
ビーターの動き(の量とスピード)をコントロールするのがフットワークの肝なのでしょうが、私なんかその前に足の動きをコントロールするので精一杯です(笑)

それから
踏んだ後のビーターの状態に関して何度も言及しているのは、それによって上記のようにサウンドが変化してしまうからです。後ほどゆっくりお話したいと思いますので、今は「ああ、そうなのね」程度に考えておいてください。<続く

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