まず最初にドラムスクールの佐々木先生にMSD0115を持ちより相談。
「スナッピーがどんどんゆるんでくるんですけど・・・」
一曲演奏していると、「スタンッ」「タンッ」「ダンッ」「ダッ」「バッ」「バシャッ」叩くにつれて、どんどんだらしのないサウンドに変化していきます(笑)なんじゃこりゃ〜!
MSD0115はスナッピーを止める両側にテンションボルトが存在しています。佐々木先生のアイディアで、どちらがゆるむかマジックで矢印を書いたセロテープを使って、ストレイナー部分(スイッチ部分)とバット部分(その反対側)両方に貼り付けました。実験の結果、ゆるんでいたのはバット部分で、1分も演奏すると90度くらいゆるんでいたのでした。

「これはヒドイですねえ、修理した方がいいですよ。YAMAHAの渋谷店に、ヤマハドラムの制作を担当されていた方がいるので、紹介しておきますよ。」

先生に紹介されて向かった道玄坂のYAMAHA渋谷店。
とてもキレイなお店で、以前渋谷でライブをした時、サウンドチェックの合間の時間潰しに(大変失礼)行った事がありました。
先生に紹介された小玉さんという方は、実は1995年に私が参加したセミナー「YAMAHAドラマーズキャンプ'95」でお逢いした事があって、当時の懐かし話や現場のウラ話に大変盛り上がりました。

「いい色に落ち着いたねえ」持ち寄ったMSD0115の特種塗装が、長い年月を経て美しい琥珀色になっている事にいたく感動され「大切に使ってくれたね」と褒められてしまいました。いや照れますな。使った後いつも磨いていて良かった。

そして故障個所をチェックしてもらったところ、
バット部分のボルトが曲がっていたらしく「これは交換すれば直る」とのこと、しかしホッと胸をなで下ろしたのもつかの間。「Pennyさん、ここ見て下さい!」と言われ見てビックリ。ラグとシェルの部分に「浮き」が見られます。

「これって浮いてますよね・・・」

普段あまり真横からスネアドラムを見る事はしません。私のMSD0115は長い間使用しているうちにヘッドを締めるボルトに引っ張られ、少しづつシェルに取り付けられたラグが浮いた状態になっていたのでした。

全然気がつかなかった・・・

浮いているのはよりテンションが掛かる打面側のみだったのですが、訊くとMapleCustomのごく初期のモデル(私はこれが出てすぐに購入した)はこういう問題があるそうで、この問題はマイナーチェンジ後には解消していて、
しばらく預ければこの部分は無償で修理していただけるとの事。ああ良かった。「シェルにもちょっと手を加えるので、時間が掛かるけどいい?」と言われ、そんなこんなで、その日ヤマハにMSD0115を預けました。

それから約1ヶ月が経過しました。

随分かかるものだなあ、故障した部品交換と、ラグのパーツ交換だろ・・・?

疑問を感じつつ首を長くして待っていた矢先、「愛機MSD0115」がYAMAHA渋谷店に届いたとの知らせが。喜び勇んで渋谷店で受け取りファイバーケースを開いた瞬間。

「あれ?」

思わず声が出ました。乳白の保護ビニールから透けて見えるシェルがどこか違います。

「シェルの色が何か・・ちょっと・・・やっぱり違うな、赤い。っていうかこの色何処かで見た事がある・・・そうだ!買った時の色だ!」

「え?何で?」「何で?」「何で?」

何とシェルが新品になっていたのです(笑)見るのも懐かしい、例の日焼けの如き「痛そうな」赤色、シェルに手を加えすぎです(笑)そりゃ修理に時間も掛かります。というかもはや修理の域を超えています。事故して全損したクルマの「タイヤが無事だったから」といってタイヤ以外のクルマ本体を取り換えてくれるようなものです。私のMSD0115は10年目にして「ほぼ新品」になりました。

っていうかイイの? これでイイの?

この場合、言葉の使い方が違うかもしれませんが、正直オロオロしました。万引きでもしているかのような罪悪感が私を襲っていました(笑)

私はただ修理に出しただけなんだ・・・私は悪くない・・・(←長塚京三っぽく)

結局交換した「バット部分」の修理代金
「のみ」を請求され、やっぱり何か悪いような気がして、以前から買おうと思っていたYAMAHAエレドラの新型キックパッドを同時に購入しました(笑)小玉さんはお休みだったのですが、キツネにつままれたような感覚のまま、お店の方に丁寧に挨拶をして、私は渋谷を後にしました。

「へー良かったねえ」

家に帰ると母親はのんきにそう言います(笑)
私としては木胴で最も使用頻度が高かったスネアなので、「ラッキー」と一言では片付けられません。
シェルが新品になってしまって「音」にどのくらいの影響が出るか心配でした。

心配は杞憂に終わりました。

叩いてみて思った事、
明らかに鳴りが違います。以前よりもオープンなサウンドになりました。前よりもずっと好印象です。購入した頃の音よりもイイのでは?と思います。でも色に関しては・・・・これはまた鍛え直しです。日焼けから琥珀色へ、今度はじっくり変化を観察しましょう。楽しみがまた一つ増えました。

小玉さんをはじめ、お骨折り頂きましたYAMAHAの皆さん、
この度は本当にありがとうございました。

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