私はこれまでに、ドラムセットを3セット所持していた事があります。別に同時に持っていたわけではなく、新しいもの(どれも中古でしたが・・・)を手に入れる度に前のモノは手放していました。
最初のセットは、名前も分からないボロボロのパールのドラム。何処から手に入れたのか、その時にお金を払ったのかもよく憶えていません。多分盗んではいないと思います(笑)バスドラムを止める差し込み式のレッグパーツが片方なくて、ドリルで穴を開けたりして、パールから取り寄せた折り畳み式の新しいレッグを取り付け、シェルの内側がベニアっぽかったのが何となく嫌で、ペンキで黒く塗ったりして(笑)結構手を掛けて使っていました。ラメは入っていませんでしたが、赤いメタリックのカバリングタイプ(塗装ではなく化粧板としてセルロイドを巻いてある)のシェルだったと思います。

学校を出てアルバイトしながらのバンド活動をするようになってからは、結構TAMAというメーカーに縁があったりして、次のセットもその次のセットも、先輩ミュージシャンから譲ってもらったTAMA製ドラムセットでした。1代目は北海道産バーチ材を使った初代Grandstar(ホワイト)、2代目はメイプルのArtstar II(アンバー)、少しづつ出世してるのが面白い。
ちなみにTAMAの会社名は星野楽器(株)なので、ドラムのシリーズにはStarが付くのが一般的なお約束です。

当時は今ほど楽器を大切にせず、「ドラムなんか鳴ればいいんだ」程度にしか考えていなくて、ここで書こうにもセットの詳細を余り憶えていません。カバリングだったか、それともラッカーペイントだったのかすら憶えていません。まあ、Artstarは間違いなくペイントでしょう。Grandstarもおそらくペイントだったと思います。初代のパールがカバリングだとしっかり憶えているのは、ヒビ割れ個所があったからです(笑)

そのTAMAの2セットで記憶に残っているのはどちらも「深胴」タムで、口径も同じだったという事、22インチのバスドラ、12、13のタムタム、16のフロアタム。まあ定番ですね(笑)あ、Artstarにはさらに10インチハイタムが付いていたかもしれません。深胴は文字通り「胴(シェル)が深い」サイズのドラムです。最初のパールが浅胴だったので余計に、背の低い私はセッティングに困った憶えがあります。当時は小口径バスドラなどはほとんどなく、22インチの定番サイズや、ハードロックでよく使われた24インチのビッグサイズバスドラが人気で、深胴のタムを私の好きな角度でセッティングすると、私の顔の高さに打面が来たものです。これらのセット、レコーディングに使う事1〜2回、ライブで使う事10回程度、あとはずっとケースにしまいっ放しで、譲っていただいた方々には申し訳ないのですが、必要だから持っていただけで、それほど思い入れはありませんでした。だから最後にドラムセットを手放した時も、実にアッサリしたもので「基本10回払い。無理なら、ある時払いの催促なしでいいよ」てな感じで後輩ミュージシャンに押し付けた恰好です。音が良かったのか悪かったのか、私のチューニングは的確だったのか、的外れだったのか。録音した成果物はあるのですが、録音時に[自分の意志をそこに反映した憶えがない]ので、未だに判断の付かないところです。

本当にゴメンナサイ、全然思い入れが無くって。楽器にも、それを譲ってくれた方々にも本当に失礼ですね。思い当たる部分としてですが、私は自分の所有するモノは、新品で買おうと、中古で買おうと、基本的に思い入れは変わらないものの、強烈に「欲しい」と感じ、自分で調べて探して吟味して買ったのと、必要に駆られてとりあえず買っていたのではかなり意識が違うみたいです。ドラムセットを持っていた記憶はあるのに、実感が・・・持っていた(もしくは買ったという)実感が何処にも無い。というのが何より正直な感想です。

訳あってその後、数年間しばらく音楽から離れ、ドラムを止めていたわけですが、
もし今後、またドラムを演奏する気になって、次にドラムセットを購入する機会があるのなら、もっと真剣に、もっと自分の為に、安くても高くても、中古でも新品でもいいから、自分が「これだ」と思ったモノを手に入れたいと、心の奥底では考えていたのです。その証拠にドラムセットを処分しても、シンバルもシンバルスタンドもスネアドラムも誰にも譲らず、ずっと大切に所持していました。続く

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