世界にひとつだけのモノ。他人が持っていない、私だけのためのモノを手にしたかったのです。理由は多分それだけです。でもよくよく考えてみると、ドラマーは一人ひとりそれぞれキャラクターが違い、楽器もまた同様です。
要するに私が演奏すれば、上手い下手に関わらず、どの楽器でも自然とそれは「Pennyの音」になり、SMAPではないですが「世界にひとつだけの・・・」は既に達成されているワケです。本来なら、何十万も何百万もする楽器ではなく、何処にでもある、ありふれたモデルで、その最高のサウンドをひき出す方が、ドラマー的には全然カッコいい。私とて、曲がり形にも音楽家の端くれならば、大切なのは特別な「モノ」よりも特別な「音」。あの楽器この楽器と騒ぐよりも、どれでもいいからじっくり「世界にひとつだけの至高(嗜好?)のサウンド」を目指した方が良かったのかもしれません。てなこと考えてると、ドラマーとしても人間としても、如何に自分がスノッブで、ちっぽけな存在かと認識し、返す返すも悲しくなったりしますが、でもまあ過ぎた事とその成果として、実際にこうして目の前に望んだモノがあったりすると、先程まで巡らし気にしていた考えは何処へやら、満足しきりでニヤ付いていたりするのが現実。つれづれなるままに日暮らし、何年経っても私は大人になれそうもありません。
TAMA
Starclassic
SMS1465(改)
カラー:京(ホワイトオレンジサンバースト)

サイズ
シェル
フープ
テンション
14×6.5
メイプル6プライ5mm
+サウンドフォーカスリング
ダイキャスト
8

ドラムの色に関して、普通の「ホワイト」は結構見かけます。たとえば中学・高等学校などの「部活」で使われるドラムセットでは
「ホワイト=無難な色」として、比較的「白」という色は人気が高いような気がします。
しかし、ホワイトに他の色のサンバースト(グラデーション)を組み合わせたものは、ドラムという縛りを除いた楽器全体としても、実はほとんど見かけません。塗装技術として出来ないワケは無いのでしょうし、あまり見られない理由として「ニーズが無い」「そもそも思いつかない」・・・まあ、とどのつまり、今現在「出しても人気が出そうもない」からリリースしないのでしょう。

音楽を演奏する事は、世間的に広く
「カッコよい」と思われている事なので、楽器のカラーも赤系、青系、黒系統などなど、いかにも「強そう」だったり「クール」な印象を受けるものが多数を占めています。ドラムに限った話でも、私がドラムを始めた1984年頃はハードロック、ヘビーメタル全盛の時代で、特にその傾向が強かった時期だと思います。当時ドラムに「カワイイ」カラーなどというものは、まず必要がなく、ほぼ存在しませんでした。

しかし最近ではドラマーの趣味も多種多様になってきています。身近な例でも、私が買ったセットのカラー、TQS:テキーラ・サンライズ(写真右、イエローにオレンジのサンバースト)の様な「明るく」て「奇抜な」カラーも、国内外を問わず様々なメーカーからリリースされています。要するに私が演奏をはじめた時期がたまたま「暗い系」のカラーモデルが流行した時代だっただけで、さらにそれよりも以前のヴィンテージドラムには、もっとエキセントリックだったり、サイケデリックだったり、正直「何だこの色?」っていうのが結構あります。流行は変化しつづけ、何度も巡り、淘汰され、そして最後は多様化します。実に健全な傾向だと思います。既成概念を壊す事と進化は紙一重です。先日ショップで、ピンク色のパールのミニドラムキットを見た時、私は「気持ち悪」と一瞬思いましたが、次の瞬間「いや面白い、いっそ欲しい」と思い、それを叩く際の自分の衣装にまで考えを巡らせました(笑)結局そのピンクは買いませんでしたが、私の中ですら今まで「ナシ」だった色が「アリ」になってきています。ジャズ、ロック、ポップス、ラテン、様々な音楽のジャンル、楽器も、そのサウンドの一翼を担うドラマーも、また様々であるべきだと思う今日この頃です。
「こういう色があってもいいでしょう!」と私がTAMAにお願い(笑)して、Starclassicに施したオリジナルカラー「京」で狙っていたのも、まさしくその辺りで、セットのカラーがTQSであるのも考慮しつつ、デザートのムースよろしく、生クリームにオレンジシロップをたっぷりかけたような、「おいしそう」で「カワイイ」カラーを目指しました。

こうなった以上、
願わくばライブやリハで「何あれ?あんなスネア見た事ない!カワイイ〜!」って言われたい(←絶対言われないって)真の狙いは何処に向けられているかも不明な、個人的な優越感だったりして・・・まあ、それもアリです。
これは最近知ったのですが、TAMAのエンドーサであるマイク・ポートノイ氏(ドリーム・シアター)の、かなり以前リリースされた限定シグネチャーモデルが、同じようなホワイトに赤のサンバーストだったそうです。生クリームにストロベリーシロップをかけたようなそのモデル。やっぱり見た目実に「おいしそう」で「カワイイ」知っていたら即行買っていたかもしれません。

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