太鼓は「皮が鳴ることが全て」でははありません。皮を鳴らし、それを支える胴を鳴らし、それぞれが反響しあって太鼓の音が出来上がるのです。つたない私の手ですがイラストで解説します。ご覧ください。
ドラムが鳴る仕組みを絵で解説
叩かれたヘッド(トップヘッド)は中の空気を押し下げます。打面から爆発するかのように空気が他の場所に逃げようとするのです。

この場合、まず押し下げられた空気は反対側のヘッド(ボトムヘッド)を揺らします。空気は同時に周囲のシェルを揺らそうとしますが、プラスチック素材のヘッドの方がシェルよりも柔らかい為に、その力の第一波は主に下のヘッドの方向に集中します。
左の断面図をご覧ください。ある程度の「張り(テンション)」を与えられた上下のヘッドは、円の外側に向かって波のように振動しはじめます。振動が伝わる先には縁の部分、エッジが存在し、ドラムのシェルと直接接触しています。ヘッドをギターの弦、エッジをギターのブリッジと捉えれば分かりやすいと思います。そこで音を拾うということですね。
振動の波がシェルのエッジを介してシェル全体が鳴り響きます。皮(ヘッド)も胴(シェル)も振動し。これが洞窟のように反響しあってドラムのサウンドが生まれるわけです。
これらの事が「一瞬のうちに起こって、終わる」のがドラムです。シェル素材の種類にはじまり、エッジの状態(歪みなくヘッドに触れているかどうか)、ヘッドの厚みとその張り具合などなど、音に影響を与えるものは数知れずいくつも欲しくなってしまう私の気持ちも、ちょっとはお分かり頂けたかと思います(笑)

最後になりますが、物理的に正しいからといって、
それが「いい音」だとは限らないのが、ドラムサウンドの深くて面白いところ。正解はなく、かと云って不正解もありません。演奏している時に「なんだこの音」と思ったサウンドが、マイクを通して録音されると素晴らしく「音楽に合った」サウンドだったりします。演奏者にとってはそういった経験がモノをいう世界ですが、私なんか未だに偶然が支配する部分も多く、録ってみたら「良かった・悪かった」のくりかえし、おかげで私の中では、かなり芸術性が高いですね、むしろ「賭け事」に近いですが・・・

音楽の中の正解は
奏者と観客の心の中にしか無いというのが私の結論です。

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