ほぼ1年前の話です。去る2004年後半、TAMAのスネアドラムラインナップに「私にとって」大変大きな変更が加えられました。以前楽器紹介のこちらのページでもお話したように「必ずやいつか手に入れてみせる…」と誓っていた「ベルブラス」のスネアドラムに大幅な改良が加わったのです。
その変更点はいくつかあって、まず一番最初に気付くのはその名前。何と金属胴のスネアでは初めてStarclassicの銘を冠しました。その名も「Starclassic Bell Brass(まんま!)」これで長年に渡りTAMAの金属スネアの代名詞として親しまれていたベルブラスのシェルが名実ともにTAMAの代表銘柄になったということです。 Starclassc Bell Brass(残念ながら廃盤製品になったようです

それに伴いラグやストレイナーなど、
Starclassicシリーズと同様のパーツが使用され、ルックスも以前の武骨な所が無くなり、ベルブラスの金属の色とも相まって、クラシカルでゴージャスな雰囲気を感じさせるものになりました。内容もリニューアルしたスナッピー、通常のワッシャーとゴムを組み合わせた「Hold Tight Washers」という弛み防止パーツを新規に開発・投入。当然ながらプレートもStarclassicロゴの入った新しいもの(写真左)に変更されています。
マメ知識
ドラムのメーカー名や機種名などのロゴに関して、通常他のメーカーでは金属プレート(下写真左)にそれらを刻印しています。そしてこれらは誇らしげにシェルに取り付けてある事が当たり前なのですが、TAMAのStarclassicという商品はその誕生以来、(カバリング以外のシェルには)ラッカー塗装の下にロゴをプリントしています(下写真右)。コンセプトの一つとして「シェルに余計なものを取り付けない」という事らしく「さすがはTAMA」と称賛される部分でもあったのですが、今回のベルブラスはラッカー塗装のできない金属胴ですので、他のStarclassicの様にロゴをプリントする事は不可能だったようですね(笑)
こういった数多くの素晴らしい改良よりも、私が単純に嬉しかった事は、これからも継続してベルブラスのスネアドラムがTAMAのカタログにラインナップされ続けるという事実。あらゆる素材がチョイスでき、海外製品や、限定生産、また魅力的な低価格モデルが数多くなってきている昨今にも関わらず、こういった夢のある超高額商品を残してくれたTAMAに、私は素直に拍手を送りたいと思います。

しかし
唯一残念だった事があります。私にとっては「変更されてしまった」とも言うべきその改良点。このリニューアルを機にTAMAベルブラススネアは
(せっかくの)ベルブラス素材だったフープが
一般的なダイキャストのフープに変更され(ちゃっ)た事。

↑これから

↑これに変更
フープが何の事か分からない人はまずこちらのページをご覧ください。

スネアの音を決定する大きな要因のひとつに「フープの材質」というものがあります。スチールやブラスなど金属を「曲げて」作られるフランジフープ(柔らかな叩き心地とオープンなサウンドが魅力)。鋳型に金属を流し込み「形成して」作られる(亜鉛などの)ダイキャストフープ(芯のあるアタック音やクローズドリムショットのサウンドが特長)。その他にも最近ではすっきりした倍音が特徴的なサウンドの木製ウッドフープがあったりします。

そもそもそれぞれ音が違わなければそんなに種類は存在するはずがありません。
ドラマーにとってフープの違いによるサウンドや演奏感覚の変化は常識です。
そしてその中でもベルブラスのフープは、フープ界(何だそりゃ)の王様で、良いか悪いかは別にして「どんな材質のシェル」だろうが、たとえ「鳴らないと悪名高いシェル」だろうが、付けたら最後「強引に」鳴らしてしまうという、云わば最終兵器「リーサルウェポン」とも呼ぶべきフープなのです。今までのTAMAベルブラススネアは、ボルトやラグ、ストレイナーなどスナッピー関係のパーツを除いて「オールベルブラス」を誇っていました。

大魔王のサウンドの一翼を担う
ベルブラスフープは、私にとってとてもとても重要なファクターで、TAMAのこの決定は、何かとても「大切なものが足りなくなってしまった」という虚無感を感ぜずにはいられません。

もしあなたが海で溺れて、助けてくれたライフセーバーの人が海パン穿いてなかったら嫌でしょう?
定食を頼んだのにみそ汁もスープも付いてこなかったらどう思います?
銀河鉄道999のメーテルがスキンヘッドにしたらガッカリしませんか?

私はブラックコーヒー派ですが、
ベルブラス製のフープじゃない「ベルブラススネア」なんて、まるでクリープを入れないコーヒーの様なもの。断じて認めるワケにはいきません!
マメ知識
ちなみにメタリカのドラマー、ラーズ・ウルリッヒ氏のTAMAから発売されているシグネチャースネアドラム(写真左:LU1465BB 現在は廃盤)で、この「ベルブラスシェル+ダイキャストフープ」という組み合わせがとても好評なのだそうです。
今回、ベルブラスフープが不採用になった本当の経緯は知りません。素人には分からない、色々と大人の事情があるのかもしれません。考えつくところでは上記シグネチャーのラーズ・モデルが人気だということ、表面の仕上げが多少デコボコしているベルブラスのフープでは、弛みどめにゴムを仕込んだ新ワッシャーの効果が出せないから、「信じられないほど重い」といわれるベルブラス唯一の欠点を少しでも払拭したかったから、などなど・・・
まあ決定事項だから仕方ないんですけどね。<続く

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