ドラムセットが「本気で欲しい」と強く思いはじめたのは、長いバンドマン時代ではなく、気分も一新、私がCommerzに入って、再びドラムをはじめた頃でした。
しかし(最初に言っておきます、これは文句ではありません)Commerzという友人同士で組んでいるバンドは、私が考えていたよりも「全然ライブをやらず」冷静に考えてみても、ほとんど「リハーサルを行う為にバンド活動をしている」という実に内向的、かつ閉鎖的なバンドで(笑)ここ数年ライブを1度も行っていません。メンバーの大半は私とは違い、それぞれ責任ある仕事に付いており、非常に多忙になってきているので、この頃では1ヶ月に2度リハーサルをやれば良い方です。最初の頃は「なんて打っても響かない連中なんだ!!」と歯ぎしりをしたものですが、それでも私を誘ってくれた彼らが、それで満足だったり楽しいのであれば、まあ良いんじゃないかと、最近では思っています。ですから「これじゃあドラムセット買っても使わないなあ」と購入はあきらめていました。
それから数年が経過し、Commerzは相変わらずなものの、私はここのところ色々なバンドに参加し、演奏の機会が増えてきました。レコーディングに誘われる事もあったり「そろそろセットも買わないとなあ」と感じていた矢先、ある仲間の結婚披露宴で演奏を頼まれ、おじさん連中と組んでいるGSバンドで出演する事になりました。これは、とてもいいきっかけになったと思います。彼の結婚、そして私のドラム20周年(笑)良い機会だし、おめでたい席です。二つのお祝いとして、今回「おニューのドラムセット」で出演する事にしました。

別に当日ドラムセットをレンタルしても良かったのですが、借りるドラムセットが結婚披露宴や、その会場の雰囲気に見合った、キレイなものかどうかは分かりませんし、自宅のエレドラはもはや根っこが生えていますし(笑)ここは一丁フンパツして、
パーッとお披露目と行こうじゃありませんか。
新品のドラムセットを購入するのははじめての経験。まずはショップに行き、カタログをもらってきます。スネアやシンバルやシンバルスタンド、その他のハードウェアは手持ちのもので充分です。よって今回必要なのは「ドラム本体」私の立てた予算は35万円程度、これにはケースの金額も入っています。ケース(それもハードケース)はとても大切です。ドラムというのは円いので、ケースに入れて運ばないと、クルマの中でゴロゴロ転がってしまい(それは極端ですが)かなり楽器によろしくありません。ケースの価格もピンキリなのですが、比較的安価なタイプを必要最小限で狙い撃ち買いするとして、ドラム本体にかけられる予算は上限30万程度にしました。この価格なら、日本のメーカーの製品ならハイエンドに近いものが選べます。今回海外製品は全く考えませんでした。まずはアタマをクリアにします。メーカーそれぞれに対する先入観とこだわりを一切なくしてカタログを熟読。そして自分の経験と照らし合わせて、どのメーカーのどのモデルにするかを検討しました。

一通り読んでの感想。定番なのはパール、珍しい色で選びたいならヤマハ、タマは何度も試奏しているので好印象。正直なところ、トータルにみて各メーカーそれぞれ、いい部分もそうでない部分もあります。「いい部分」はもちろん各メーカー特有の「サウンド」。これは好きなものを選べばいいだけです。私の印象としてガツンと来るのはパール、音が伸びるのがヤマハ、音がキレイなのはタマです。日本のメーカーのドラムはどれも高品質で、ほぼ横一線です。一方「そうでない部分」というのは「ドラム以外」の部分。まるで禅問答の様ですが、ドラムを買うのにドラム以外の部分もみるのです。メーカーは太鼓だけ作ってればいいわけではなく、細かく言えば、バスドラムを止めるレッグパーツの部分だったりとか、タムを止める周辺のパーツの使い勝手、耐久性、そのネジの締め心地、鋳物部分の精度や感触、メッキ加工の美しさと丈夫さ・・・そしてかなり重要なファクターである商品の割引き率(笑)挙げればキリがありません。そこにはそれぞれのメーカーの得意分野、不得意分野があったりして、その中でもタムタムのスタンドなどの「ハードウェア部分の使い心地」は演奏者として結構重要で、セッティングのしやすい(もしくは好きな)メーカー、そうでないメーカーはハッキリ別れます。この部分に関して、私は昔からパールに最大の信頼を置いています。多くのスタジオで使い慣れている事と、他メーカーよりも太くてがっちりしたパーツを使用しているからです。音も大切ですが実際買うとなれば、出来るだけモノとして丈夫なものが好ましい。止めたはずのボルトがライブの時に弛み、セッティングがズレてしまうようでは困るのです。他にもドラムはタマだったのにシンバルスタンドは最近まで全部パール製でした。一方キックペダルはほとんどタマ、ハイハットスタンドもタマ、しかしハイハットシンバルを止めるクラッチ部分はヤマハ製です(←最高!)こだわっている訳ではないのですが、私はプロではないので楽器選びに「縛り」も「お約束」もありません。私が個人的にいいと思ったモノ、好きなモノを使います。
二宮金次郎のように、カタログを見ながら前傾姿勢で何度もショップへ足を運びます。そして振り落とし作業が始まりますここからがインネンの嵐です(笑)一つ試奏しては振り落とし(試奏すると逆に振り落とせなくなる事も多いです)行く先々の店員にメーカーの評判を訊いては振り落とし(店員さんにも好きなメーカー、嫌いなメーカーがあって、さらに色々ウラ話が訊けて面白い)タムのマウント(取り付け方法)が気に入らないと振り落とし、ほぼ決まりかけても、欲しいカラーが3ヶ月納期と聞き振り落とし、そんなこんなを2週間ほどやって最終的に残ったのはタマのStarclassicでした。

先日スネアを買ったCANOPUSも実際に直営ショップに出掛け、検討しました。気に入ったモデルもあり、見積りを取りましたが、納期的にもギリギリで、ちょい予算オーバーだったので今回は断念しました。サウンドは最高でしたよ!

Starclassic Maple
種類
深さ×口径
型式
BD(バスドラム)
16×22
SMB2216FHS
TT(タムタム)
8×10
SMT1008FH
TT(タムタム)
8×12
SMT1208FH
FT(フロアタム)
14×14
SMF1414FH
FT(フロアタム)
16×16
SMF1616FH

まるでカタログから飛び出したようなスペックです(笑)私が注文したモデルは、俗に言うツータムツーフロアと呼ばれるセットでした。

おぃら、今さっき注文しちゃったよぉ・・・・
ほぼ「北の国から」の田中邦衛状態です。じわじわと充実感が体を襲います。仕事中だろうが、何だろうが、
誰彼構わず電話を掛けまくりました。「買ったよ、買ったよ、おいら遂に買ったんだよ!」本気で興奮していました。しかしこんな興奮は序章に過ぎませんでした。続く

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