以前も書きましたが、2004年のドラムセット購入の際に、方々のショップに行って試奏をしていました。詳しくは書きませんでしたが、CANOPUSのお店に行ってニトロセルロース塗装を施されたバーチシェルのセットを叩いた時、その見事なサウンドに感心しきりでした。
「ああ、バーチのドラムってこういう音が出るんだ・・・」

メイプルとは一味違うサウンド、低音が豊かで芯がハッキリしている
「ドーンと腰の座った」サウンドです。メイプルシェルと比較しても何の遜色もありません。っていうかそもそも魅力が違います。その魅力ある「バーチサウンドの発見」は、試奏を繰り返し実際に楽器を買うためだったからこそ解りえた、私にとって貴重な経験になりました。

私が以前所有していたTAMAのセット「Grandstar」も北海道産のバーチ材だったのですが、当時は色々比較をした事がなかったのでよく分からなかったのです(汗)
どのメーカーのカタログを開いてもほとんど最初に出てくるハイエンドのメイプルシェルドラム。木胴ドラム素材の中では軽い方で、またトップクラスに堅く、それによって強力なシェルを造れる「メイプル(カエデの木)」。メジャーリーガーのバットにも使用され、ほとんどがアメリカ、カナダでしか採れないその木材で造られるドラムは、前述の通り「堅い木」なので、「大きな音」「明るい音」「硬めの音」がしますが、同時に金属銅ではなかなか得られない、木胴ならではの「あたたかさ」「ふくよかな鳴り」が支持され、一般的に高級品とされます。ま、そもそも金属胴のドラムセットは(軽く作りにくいので)珍しいですけどね。

高級品(高額商品)があれば、そうでないものも存在するわけで、メイプルよりも比較的安価なドラムに使われる代表的な木材に「バーチ(カバの木)」が存在しているのです。
でも私がセットを試奏した感覚でいうと前述の通り「音的には全く遜色ない」「むしろ欲しい(笑)」と感じたので、ドラマーの皆さんは値段など気にせずにメイプル材でもバーチ材でも、最近話題のブビンガ材でも、試奏して(←これ大事!)自分の好きなサウンドに近いものを手にすれば良いのだと思います。そういえばYAMAHAの長年のベストセラー、名機「レコーディングカスタム」のシェルもバーチですよね。

実はStarclassicのセットを買う時も「いっそ径を落としてバーチにしてみようかな」と最後まで悩みました。ポピュラーな22インチのバスドラではなく、20インチのStarclassic Birch(バーチ)を試奏してとても好印象だったからです。でも最終的には、先生の「やっぱり22インチは一つ持っていた方がいいですよ!」というご意見と、馴染みのショップのMさんが「(ちょっと慌てた様子で)いやいやPennyさん、ここはメイプルにしておきましょう!」という非常に強いオススメがあり(笑)アドバイスに乗っかったという経緯があります。

そういえば私は
木胴ではメイプルシェル、金属銅ではブラスシェルのスネアドラムばかり持っています。木胴でも金属胴でもこれだけ色々と選べる時代にありながら・・・

一体それは何故だ?
古くは小学生の「ランドセル」お習字の「筆」「硯」だったり、珠算塾の「ソロバン」だったり、野球の「グローブ」、テニスの「ラケット」、サッカーの「スパイク」、お料理が好きな人は「包丁」・・・etc.

皆さんはお稽古事、お習い事の際に「道具は出来るだけ良いもの(上等なもの)を買っておきたい・・・」という意識が働いた事はありませんか?
きっと
高いものには理由がある。
高いだけの事はある。
高いものは長持ちする。
初心者ほど高いものを使うべき。
迷ったら高いものを買っておけ。

昔の人は良くいったもので、上記の訓示(?)は
正しいと思います。私がドラムを選ぶ際、多くの日本人がそう考える様に、私にもそういった「高級品への絶対的な(半ば盲目的な)信頼感」という無意識が存在していたのは事実です。よくよく考えてみると私はスネアドラムを選ぶ際に、バーチシェルのモデルは「最初から」相手にせず、全てメイプルシェルのものから選んでしまっていました。別に「見栄」を張っていたつもりは無いですし、メイプルは素晴らしいシェル素材な事は間違いありません。
ただ、私がメイプルを最初に選んだ理由は「あまりよく分からないから、とりあえず高い奴にしておいた方が、何かと良いのではないのか。」という今となっては信じられない理由らしからぬ理由。

つまんない理由でしょ?

「定番を選んだ」と言えば聞こえはいいでしょうが、楽器選ぶのに「音」よりもまずそんな事を考えていた
小市民な私だったのです。

ちなみにゴルフクラブは(頂いたクラブ以外は)型落ちや中古など比較的安めのものを使っています。人間反省する生き物なんだなあ・・・と思いきや、理由はそれがボロボロになるまで練習して、今みたいにボールを無くさないくらい上達してから、満を持して「一発良いヤツを買ってやろう」と数年がかりの壮大な計画を企てているからです。ケケケ(笑)
ラディックを買った時、現物を見せずにそのことを伝えると、友人のドラマーから「Pennyは『ボンゾ』が好きなんだね!」と言われた事がありました。

ボンゾって何?(笑)

ボンゾ:イギリスの伝説的なハードロック・バンド「レッド・ツェッペリン」のドラマー、今は亡き「ジョン・ボーナム」さんの愛称。当時私はジョン・ボーナムさんは存じ上げていましたが、彼が「ボンゾ」と呼ばれていたという事実は全然知りませんでした。ちなみにラディックのドラムを愛用していた彼の代表的な使用スネアは、ブラス製ではなく「スチール製」のLM-402と呼ばれるモデルです。レッド・ツェッペリンは1969年にファースト・アルバムをリリース。ヘビー・メタル・ロックの草分けとなりました。

「Pennyちゃん、これは高えんだ。13万円くらいするんだぞ。」

楽器を持っていなかった頃、当時のハードロックバンドのメンバー、S氏が貸してくれたその「高級」スネアドラムは、
ラディック製の6.5インチ「ブラスシェル」でした。
現在のブラスエディションのようなクロームメッキなどされていない「キレイな5円玉」の様な色をしたそのラディック。それまで学校などで使っていた国産の安いメタルスネアとは比べ物になりません。他人のモノなのに、当時我が物顔で使わせてもらって(笑)いましたが、確かにS氏の言われる通り「金額にたがわない素晴らしいサウンド」だと実感していたので、数年後いざ自分が買う際には他のメタルシェル、他メーカーを一切試さずに

金属ったら「ブラス」でしょう!
ブラスったら「ラディック」でしょう!
絶対「高いだけの音はする」でしょう!

と、これまたお得意の決めつけ「無意識の思い込み」でご購入に至ったのです。
どんなに考えても、私がラディックのブラスシェルを選んだのはただそれだけの理由です。よってラディックファンが考えるような、プロが愛用する有名モデル「ブラックビューティーを所有するステータス」や、有名ドラマー「リンゴ・スターさんや、ジョン・ボーナムさんへの憧れから同じ楽器を・・・」という感じではなくて、普通のドラマーさんとはちょっと違う、ヘンテコな理由でラディックのブラスシェルを購入したのです。でも、それぐらいラディックの6.5インチが好きだったんですよ。購入したのは5インチでしたが、もちろん買って大正解でした。

理由なんてね、結局こんなものですよ(笑)

まあ、小泉総理じゃないですけど
「人生いろいろ」ですから(笑)、楽器選ぶ際にこういう「縁(えにし)」に従うのもアリです。またこの歳になってからでも今回バーチシェルドラムのサウンドに感心できたのも大いにアリです。買っちゃおうかな(笑) でもやっぱり、しっかりした情報があるのと無いのとじゃ大違い。皆さん、参考にする情報は多ければ多いほどイイと思いますよ。思い込みで可能性を狭めてしまうのは損な事が多いと思うので、楽器は耳と感性で選びましょう。そして余裕があったら「縁」を信じてみましょう。

でもピンと来たら「後先考えずに」買うに限ります・・・
働け働け、支払いなんかきっと何とかなる!、ケケケ(笑)
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